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OCEAN SPIRAL(オーシャンスパイラル)における資金調達の全貌!! 資本政策を専門家が徹底解説!!

こんにちは、HiroCです。

今回は株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームであるファンディーノを利用して資金調達したOCEAN SPIRAL(オーシャンスパイラル)の資本政策を紐解いていきたいと思います。

なお、登記簿及びニュースリリース等を踏まえて筆者が独自に作成した資本政策表は、下記のリンク先からダウンロードできます。

推定資本政策表はこちら

会社概要

oceanspiral-2

OCEAN SPIRAL株式会社は2016年11月に米澤徹哉氏が立ち上げ、「海を日常に」をミッションとし、次世代潜水船SEA BALLOON(海中バルーン)開発を進めている企業です。

事業のマイルストーンとしては、2020年3月末までにSEA BALLOON初号機の製造を開始し、2021年1月にはSEA BALLOON完成、完成後6ヶ月の運用テスト、トレーニングを実施し、2021年7月には海中旅行サービスの開始を計画しています。

資金調達の推移

(1) 2016年11月 会社設立

資本金1,000万円で港区青山(現在は港区新橋に移転)に本店を設立しています。

会社設立
発行株式数 10,000株
株価    1,000円/株
資本金額    10,000,000円

(2) 2016年11月 第三者割当増資(普通株式)

会社設立から1か月も経たないうちに、早くも100万円の増資を行っています。

しかも、株価は設立時の10倍の1万円、pre money valuationで1億円の資金調達を行っています。

発行株式数  100株
株価     10,000円/株
調達金額      1,000,000円
時価総額(Post Money Valuation) 101,000,000円

設立してからわずか1か月も経っていないのに時価総額が10倍にもなるのは違和感を感じる方も多いかもしれません。

しかしながら、バリュエーションを上げるために設立直後にエンジェル投資家から第三者割当増資を行うケースはそれほど珍しくはありません。

未上場企業のファイナンスでは、時価総額は投資家の出資額を持分で逆算した結果程度のものに過ぎないからです。

一方でこうした手法は出資する側の投資家の理解が必要ともなるので、経営者のファイナンスの手腕が問われるところでもあります。

(3) 2017年1月 第三者割当増資(普通株式)

さらに2か月後に2,000万円の増資を行っています。

株価は前回ラウンドから10倍の20万円となり、設立からわずか3か月で時価総額10億円を超えました。

発行株式数  200株
株価     100,000円/株
調達金額      20,000,000円
時価総額(Post Money Valuation) 1,030,000,000円

(4) 2017年4月/11月 第三者割当増資(普通株式)

2017年の4月に1,500万円、11月に500万円の資金調達を行っています。

両ラウンドとも株価は前回のラウンドから2倍となり、時価総額は20億円を超えました。

発行株式数  100株
株価     200,000円/株
調達金額     20,000,000円
時価総額(Post Money Valuation) 2,080,000,000 円

設立して1年、普通株式による調達のみで20億円のバリュエーションにまで達しており、経営者のファイナンス能力がかなり高いものと思われます。

(5) 2018年3~4月 第三者割当増資(普通株式)

前回ラウンドから半年経たないうちに、総額75百万円の資金調達を行っています。

同社は資金調達について初めてのプレスリリースを行っており、エンジェル投資家からの資金調達であったと述べています。

3月に5,000万円、4月に2,500万円と分かれて調達を行っていることから、複数のエンジェル投資家からの資金調達であったと推測されます。

本ラウンドで特筆すべきは、前回から株価が4割下がるダウンラウンドであったということでしょう。前ラウンドで出資した投資家とのコンフリクトをどのように解決したのかが気になります。

発行株式数  626株
株価     120,000円/株
調達金額      75,120,000円
時価総額(Post Money Valuation) 1,323,120,000円

なお細かい点ですが、このプレスリリース内容から前回ラウンドまでの資金調達金額はすべて資本金として処理されており、本ラウンドから資金調達額の1/2を資本準備金に組み入れていることが分かります。

資本金準備金に組み入れた理由は、資本金が1億円を超えると税務上の恩恵がなくなり、税金負担を避けるためと考えられます。

(6) 2018年11月 第三者割当増資(普通株式)

前ラウンドから7か月後に資金調達を行っています。

株価は前ラウンドの12万円から少し上がって13万円、時価総額は14億円となりました。

発行株式数  270株
株価     130,000円/株
調達金額      35,100,000円
時価総額(Post Money Valuation) 1,468,480,000円

(7) 2019年3月 第三者割当増資(普通株式)

プレスリリースによれば、グローウィン・パートナーズが運営するファンドから約4,000万の資金調達を実施しています。

なお、これまで資金調達に関するプレスリリースは2018年3~4月のラウンドと今回の2回のみで、他のラウンドについては公式に表に出ていません。

株価は前ラウンドと同じ、時価総額は15億円となりました。

発行株式数  313株
株価     130,000円/株
調達金額      40,690,000円
時価総額(Post Money Valuation) 1,509,170,000円

(8) 2019年3月 第1回新株予約権発行

上記の資金調達とほぼ同じタイミングで、初めての新株予約権を発行しています。

行使価額は資金調達と同じ13万円でした。

発行済総株式数に対する希薄化率は0.7%程度ですので、いまだ従業員へのインセンティブとしてのストックオプションの枠は十分あると考えてよいでしょう。

第1回新株予約権
付与株式数 85株
行使価額    130,000円/株

(9) 2019年8月 第三者割当増資(株式投資型クラウドファンディング)

FUNDINNO(ファンディーノ)における株式投資型クラウドファンディングにより、87人の個人投資家から1,300万円の資金調達を行っています。

同社のプレスリリースによれば開始からわずか1分54秒で出資の申し込みが上限に達し、過去最短での資金調達となりました。

株価は前回ラウンドより少し上がった150,000円、時価総額は17億円を超えました。

発行株式数  87株
株価     150,000円/株
調達金額     13,050,000円
時価総額(Post Money Valuation) 1,754,400,000円

まとめと所感

同社は設立直後から4回の普通株式によるこまめな資金調達を行うことで、わずか1年で20億円のバリュエーションを達成するというかなりアグレッシブなファイナンス戦略を採りましたが、逆に高いバリュエーションが仇となり事業進捗の遅れ等の要因も重なって、その後の資金調達の支障となり、ダウンラウンドを余儀なくされたのではと思われます。

株価は戻しつつあるものの、ピーク時の20億円と比べるといまだ25%程ディスカウントされた状態です。

従業員へのストックオプションはまだそれほど出していませんが、今後事業が進捗し社員数も増えてくれば、増えてくる可能性があります。

ビジネスモデルを見る限り、Sea balloonの開発・製造にそれなりの資本が必要となることから、果たしてこれだけの資金調達額で足りるのかという疑問があります。

いまだ開発段階で主な収入は発生していない(2019年3月末時点で売上は0円)ことから赤字であることはほぼ確実であり、金融機関からの借入も資金調達方法として限定的なのではないかと推測されます。

同社の計画によればサービス開始は2021年を予定しており、あと1年ほどかかることから、それまでの資金繰りのために追加の資金の調達が必要になってくるのではないかと思われます。

FUNDINNOの募集時のページにも今後の資金調達の計画が記されています。

昨年11月時点で増資ではなく借入による調達を計画していたのは、株式投資型クラウドファンディングの規制により増資の選択肢が取れないためであった可能性もあります。

登記簿からは、2019年8月以降2020年1月末までにおいて、増資による資金調達は少なくとも行われていないことが分かります。

2019年11月に6,400万円の資金調達2019年12月に435万円の資金調達及び2020年7月までに3億円の資金調達を予定(※ただし、今回の資金調達により上限応募額に到達した場合は、2019年12月の調達は行わない予定です。)していますが、売上実績が想定どおりに進まない場合には予定している資金調達に悪影響を及ぼし、今後の資金繰りが悪化するリスクがあります。なお、今回の募集後の2019年11月に予定している資金調達は、役員以外の個人からの借入によって、2020年7月までに予定している資金調達は、金融機関からの借入及び株式の発行によって実施する予定です。

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