エンジェル税制が令和2年4月1日に改正されました。
経済産業大臣認定制度の拡充により、新たに一定の要件を満たした株式投資型クラウドファンディング事業者も認定業者となります。
今回はエンジェル税制の認定事業者について詳しく説明していきます。
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エンジェル税制とは??
エンジェル税制とは投資時点、株式売却時点のそれぞれの時点において、税制上の優遇措置を受けることができる制度です。
優遇措置A、優遇措置Bの二つが存在し、優遇措置Aは総所得から控除。
優遇措置Bは株式譲渡益から控除されます。
優遇措置Aの控除限度額は所得金額×40%と1,000万円(令和3年1/1以降は800万円)のいずれか低い方。
優遇措置Bに関しては上限がありません。
下記記事でエンジェル税制について具体的に説明しています。
エンジェル税制の認定事業者とは??
エンジェル税制の認定事業者には下記があります。
投資事業有限責任組合はベンチャーキャピタルなどが出資する際に組成するファンドのことです。
少額電子募集取扱業者は株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームを運営している事業者になります。
令和2年4月の改正により、一定の用件を満たした少額電子募集取扱業者が認定業者として認められることになりました。
エンジェル税制の認定事業者になると何ができるのか
認定事業者に認定されると認定少額電子募集取扱業者が募集又は私募の取り扱いを行った企業について、エンジェル税制におけるベンチャー企業としての要件(試験研究費支出要件及び外 部資本導入要件)を免除し、都道府県での確認手続きが不要となります。
つまり、認定を受けた少額電子募集取扱業者は都道府県に変わり、ベンチャー企業のエンジェル税制適用の認定業務を行うことが可能になります。
また、都道府県への確認申請が不要になるには下記の条件を満たす必要があります。
- 設立10年未満の中小企業者であること(優遇措置B適用の場合)
- 設立5年未満の中小企業者であり、設立以後の各事業年度において営業キャッシュフローが赤字であること(優遇措置A適用の場合)
- 大規模法人及び当該大規模法人と特殊の関係にある法人の所有に属さないこと
- 未上場・未登録の会社であること
- 風俗営業等を行っていないこと
- 投資事業有限責任組合契約を締結した認定投資事業有限責任組合と一定の事由を記載した投資契約を締結すること(認定投資事業有限責任組合経由の場合)
- 投資家と発行会社が一定の事由を記載した投資契約を締結すること(認定少額電子募集取扱業者が募集又は私募の取扱いを行った場合)
少額電子募集取扱業者が認定事業者になる条件
少額電子募集取扱業者がエンジェル税制の認定事業者になるにはいくつかの条件をクリアする必要があります。
- 株式投資型クラウドファンディング業務により募集又は私募の取扱いを 行った発行会社に対して指導・支援を行う旨が明記されている
- 発行会社に対して指導を行うに足る知識・経験を有していること
- 発行会社に対する指導の前提となる少額電子募集取扱業者の存続に関 して、関係法令に抵触していないこと
これら3つの点をクリアすることで認定事業者として認定されます。
また、下記のいずれかに該当するときは認定の取り消しが行われます。
- 虚偽の申請を行ったとき
- 変更の届出を怠ったとき又は虚偽の届出を行ったとき
- 経済産業大臣による調査を拒んだとき
- 特定中小会社及び特定新規中小会社に対して積極的な指導を行うこと が確実であると見込まれなくなったとき
認定を受けた少額電子募集取扱業者
2020年11月現在において認定を受けた認定少額電子募集取扱業者は下記の事業者になります。
- 株式会社日本クラウドキャピタル
- DANベンチャーキャピタル株式会社
- イークラウド株式会社
- 株式会社ユニコーン
- SBIエクイティクラウド株式会社
株式会社日本クラウドキャピタルはFUNDINNO(ファンディーノ)を運営しています。
令和2年6月2日に日本初の認定を受けました。
DANベンチャーキャピタル株式会社はCAMPFIRE Angelsを運営しています。
令和2年6月23日に認定を受けました。
イークラウド株式会社はイークラウドを運営している企業です。
令和2年8月20日に認定を受けました。
GEMSEE Equityを運営するSBIエクイティクラウド株式会社も令和2年8月20日に認定を受けています。
ユニコーン株式会社はユニコーンを運営しており、令和2年10月23日に認定を受けました。
また、エンジェル税制の適用対象となるのは認定日以降になります。
認定日以前の投資は適用対象とはなりません。
案件の募集中に認定を受けた場合適用対象です。
まとめ
株式投資型クラウドファンディングの事業者が認定業者として認められたことで、今後はよりエンジェル税制が国内で利用される環境が整いました。
また制度が改正されたことで、申請が簡素化され、投資家とベンチャー企業の両者に大きなメリットがうまれました。
認定事業者は今後増えていくことが予想されます。