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クォンタムオペレーションにおける資金調達の全貌!! 資本政策を専門家が徹底解説!!

クォンタムオペレーションのアイキャッチ画像

こんにちは、HiroCです。

今回は株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームであるFUNDINNO(ファンディーノ)を利用して資金調達したクォンタムオペレーションの資本政策を紐解いていきたいと思います。

なお、登記簿及びニュースリリース等を踏まえて筆者が独自に作成した資本政策表は、下記のリンク先からダウンロードできます。

推定資本政策表はこちら

会社概要

株式会社クォンタムオペレーションは、血糖値等が測定可能な次世代バイタルバンドの開発を行うなどのIoT事業を中心に行っています。

同社が開発しているバイタルバンドは、独自の光センサーにより、血中酸素飽和度の取得をはじめ、心電図やストレス度の測定など様々な体内データを取得することができます。

光センサーのみで血糖値やグルコースを測定する技術が完成すると、世界的にも珍しい血糖値等のデータが取得可能となります。

同社は中国深センのShenzhen Xunlong Softwareと業務提携を行っており、深センのサプライチェーンをコントロールすることにより、センサーや基盤などを製造委託したい企業へOEM供給を行っています。

資金調達の推移

ここからクォンタムオペレーションにおける資金調達の推移を紹介していきます。

(1) 2017年10月 会社設立

2017年10月、東京都豊島区に資本金950万円で設立されています。

会社設立のわずか1か月後に現在のオフィスのある東京都中央区へ移転しています。

会社設立
発行株式数 950株
株価    10,000円/株
資本金額     9,500,000円

(2) 2018年8月/2018年11月/2019年1月 第三者割当増資(普通株式)

会社設立から10か月後の2018年8月に増資を実施、その後2019年1月まで複数回に分けて第三者割当増資を行い、総額4,440万円の資金調達を行っています。

資金調達時のプレスリリース

株価は60万円と設立時の60倍、時価総額は6億円となっています。

これら一連の資金調達には複数の事業会社との資本提携業務が含まれていました。

資本提携先は下記の通りです。

2018年8月 普通株式による資金調達
発行株式数 12株
株価    600,000円/株
調達金額    7,200,000円
時価総額(Post Money Valuation)  577,200,000円

2018年11月 普通株式による資金調達
発行株式数 25株
株価    600,000円/株
調達金額    15,000,000円
時価総額(Post Money Valuation) 592,200,000円

2019年1月 普通株式による資金調達
発行株式数 37株
株価    600,000円/株
調達金額    22,200,000円
時価総額(Post Money Valuation) 614,400,000円

下記は同社の第1期の決算公告です。ベンチャー企業としては珍しく、創業1期目よりわずかながらとはいえ当期純利益は黒字になっています。

(3) 2019年2月 株式分割

既存株式1株に対して12株への株式分割を行った結果、発行済株式数は12,288株となりました。

この株式分割は、後述する株式投資型クラウドファンディングで株式募集する際に、1株あたりの金額を小さくすることが目的であったと考えられます。

(4) 2019年3月 第三者割当増資(株式投資型クラウドファンディング)

FUNDINNO(ファンディーノ)による株式投資型クラウドファンディングで、339人の個人投資家から4,990万円の資金調達を行っています。

バリュエーションは前回ラウンドと同じ、株価は株式分割を考慮して50,000円/株でした。

株式投資型クラウドファンディング(普通株式)
発行株式数  998株
株価     50,000円/株
調達金額   49,900,000円
時価総額(Post Money Valuation) 664,300,000円

(5) 2019年3月 第三者割当増資(A種優先株式)

株式投資型クラウドファンディングとほぼ同時のタイミングで、優先株式により3,060万円の資金調達を行っています。

特筆すべき点は、優先株式であるにも関わらず、同時タイミングで行われた普通株式による株式投資クラウドファンディングの株価と同じであることです。

登記簿によれば、当該優先株式は1.1倍の残余財産権が付与されています。

一般的には普通株式よりも優先株式の方が株価は高くなりますが、今回のケースでは同じであるため、優先株式の投資家にとって有利な内容であったと言えます。

2019年3月 A種優先株式による資金調達
発行株式数 612株
株価    50,000円/株
調達金額   30,600,000円
時価総額(Post Money Valuation) 694,900,000円

【剰余金の配当および残余財産の分配】
当会社は、A種類株式を有する株主(以下「A種類株主」という。)に対する剰余金の配当は、普通株式を有する株主(以下「普通株主」という。)に対して支払われる1株当たり剰余金の配当の1.1倍の金額とする。なお、普通株式およびA種類株式にかかる残余財産の分配は、同順位かつ同額で行われる。

ところで、株式投資型クラウドファンディング(第一種・第二種少額電子募集取扱業務)には「発行価額の総額が1億円未満でなければならない」というルールが金融商品取引法で定められています。

1億円ルールが適用される「1年内の期間」の解釈の違いから、以前エメラダ・エクイティ(現在ユニバーサルバンクに事業譲渡)でWonderwall株式会社の募集案件が中止になった事例があります。

1億円ルールは金融商品取引法で以下のように定められています。

(金融商品取引法施行令第十五条の十の三)
法第二十九条の四の二第十項及び第二十九条の四の三第四項に規定する政令で定める要件は、次に掲げるものとする。
一 発行価額の総額として内閣府令で定める方法により算定される額
が一億円未満であること。

上記条文の「内閣府令で定める方法」というのが下記になります。

(金融商品取引業等に関する内閣府令第十六条の三)
令第十五条の十の三第一号に規定する内閣府令で定める方法は、募集又は私募に係る有価証券の発行価額の総額(当該有価証券が新株予約権証券である場合には、当該新株予約権証券の発行価額の総額に当該新株予約権証券に係る新株予約権の行使に際して払い込むべき金額の合計額を合算した金額。以下この項において同じ。)に、当該有価証券の募集又は私募を開始する日前一年以内に同一の発行者により行われた募集又は私募及び当該有価証券の募集又は私募と申込期間(第七十条の二第二項第四号に規定する申込期間をいう。)の重複する同一の発行者により行われる募集又は私募に係る当該有価証券と同一の種類(法第二条第一項第九号に掲げる有価証券であるか同条第二項の規定により有価証券とみなされる同項第五号又は第六号に掲げる権利であるかの別をいう。次項において同じ。)の有価証券の発行価額の総額を合算する方法とする。

クオンタムオペレーションについても、株式投資型クラウドファンディングとほぼ同時のタイミングで株式による資金調達を実施しており、過去1年内の資金調達額は1億円を超えており、一見上記規制の対象になるように見受けられます。

しかし、1億円ルールについては1年内という機関の他、上記条文にある「同一の種類」という点がポイントかと思われます。

すなわち、株式型クラウドファンディングおよびそれ以前の資金調達は普通株式で行っているのに対して、それ以降は普通株式とは別のA種優先株式という種類株式で資金調達を行っているため、例え1年の期間内で資金調達を行っていたとしても別種類の株式としてカウントされるため、1億円ルールの算定から除外されていると解釈できます。

(6) 2019年7月 新株予約権発行(第1回、第2回)

2019年7月に第1回、第2回の新株予約権を発行しています。

行使価額は前回ラウンドの株価と同じ50,000円となっています。

同じタイミングでも第1回、第2回と分かれているのは、役員向けと従業員向けで分けて発行しているためだと思われます。

なお、第2回新株予約権については決議されたのが7月なのに対し、登記が2020年2月となっているので、おそらく登記を失念していたのではと思われます。

これにより希薄化率は8.6%となりますが、役員・従業員へのインセンティブとして機能し、かつ希薄化率についても許容範囲と言えます。

第1回新株予約権
付与株式数 976株
行使価額    50,000円/株

第2回新株予約権
付与株式数 224株
行使価額     50,000円/株

(7) 2019年8月/2019年9月/2019年10月 第三者割当増資(A種優先株式)

前ラウンドから半年も経たずに複数回に分けて総額3億6,090万円の資金調達を行っています。

登記上は前ラウンドとA種同じA種優先株式としての資金調達になっていますが、株価は前ラウンドから3倍の150,000円、時価総額は26億円(潜在株式含む)となっています。

なお、プレスリリースによれば、2019年8月の資金調達のうち3,000万円は富田薬品株式会社からの出資であったようです。

富田薬品株式会社から資金調達した時のプレスリリース

2019年8月 A種優先株式による資金調達
発行株式数 266株
株価    150,000円/株
調達金額     39,900,000円
時価総額(Post Money Valuation)  2,304,600,000円

2019年9月 A種優先株式による資金調達
発行株式数 100株
株価    150,000円/株
調達金額    15,000,000円
時価総額(Post Money Valuation)  2,319,600,000円

2019年10月 A種優先株式による資金調達
発行株式数 2040株
株価    150,000円/株
調達金額     306,000,000円
時価総額(Post Money Valuation)  2,625,600,000円
*時価総額(Post Money Valuation)の算定には潜在株式数を含んでいます

(8) 2019年11月/2020年1月 第三者割当増資(A種優先株式)

引き続き2019年11月から2020年1月にかけて資金調達を行い、総額5億8,840万円の出資を受けています。

今回のラウンドで、会社設立後累計の資金調達額は10億円を超えました。

プレスリリースによれば、大正製薬株式会社、アルフレッサ株式会社、複数の個人投資家が出資を引き受けたとのことです。

株価は400,000円と2.6倍、時価総額は75億円を超えました。

3社から資金調達した時のプレスリリース

2019年11月 A種優先株式による資金調達
発行株式数 721株
株価    400,000円/株
調達金額     288,400,000円
時価総額(Post Money Valuation)  7,290,000,000円

2020年1月 A種優先株式による資金調達
発行株式数 750株
株価    400,000円/株
調達金額     300,000,000円
時価総額(Post Money Valuation)  7,590,000,000円
*時価総額(Post Money Valuation)の算定には潜在株式数を含んでいます

まとめと所感

会社設立からわずか2年半、こまめに資金調達を行っていき、時価総額が75億円を超えるまでに至っています。

資金調達方法で特徴的なのは、優先株式による資金調達において、株価が異なる場合は異なる優先株式になる(B種、C種etc.)のが通常なのですが、株価が異なってもA種優先株式として発行されている点です。

新株予約権についても現状において希薄化率は十分許容範囲であり、かつ役員・従業員へのインセンティブとしても不足ない水準であるように見受けられます。

株式投資型クラウドファンディング実施時のバリュエーションはプレバリューで6億でしたが、それからわずか1年強で既に時価総額は75億円と、10倍以上になっています。

新型コロナウイルスの影響で経済の先行き不透明感は増していますが、今後着実に事業を伸ばしていき、同社が目標としている2022年3月期以降にIPOが達成されることになれば、ECF投資家にとって何十倍ものリターンを見込める「ホームラン案件」としてのポテンシャルがあると言って良いかもしれません。

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