海外では株式投資型クラウドファンディングを利用してイグジットした会社がでてきています。
日本ではまだサービス自体が若いこともあり、イグジット例はごくわずかです。
このページでは株式投資型クラウドファンディングを利用して資金調達した企業のイグジット例をまとめてみました。
Contents
EXIT(イグジット)とはなんなのか
イグジットは英語で書くとEXIT。
つまり出口です。
株式投資型クラウドファンディングの場合、イグジットとは下記の3つを指します。
- IPO
- M&A
- 事業会社への株式譲渡
下に行くほどイグジットしやすく、リターンが低い傾向があります。
株式投資型クラウドファンディングにおけるIPO
エグジットの中で最も大きなリターンを期待できるのがIPOです。
IPOとは「Initial Public Offering」の頭文字をとった言葉で日本では新規公開株と言われています。
簡単にいえばその企業が上場することです。
株式の売買が可能になるため、出資した企業が上場をすると市場で売却できるようになります。
もし、あるベンチャー企業に株式投資型クラウドファンディングを通して10万円出資したとしましょう。
その企業が見事IPOして、株価が10倍になったとします。
そうなると取得した株式は100万円になるため、100万円 – 10万円で90万円の利益となります。
もし時価総額1,000億円を超えるユニコーン企業になった場合は100倍になることも夢ではありません。
このように出資した企業がIPOした場合は投資家に大きなリターンをもたらします。
ただし、年間でIPOできるのはたった100社前後しかありません。
100社というと多いように感じるかもしれませんが、日本のベンチャー企業は星の数ほどいます。
上記3つの中では最も難易度が高いイグジット方法だということは覚えておいてください。
株式投資型クラウドファンディングにおけるM&A
イグジットの中で最も期待できるのがM&Aです。
M&Aとは「Merger and Acquisition」の頭文字をとった言葉で「企業の買収と統合」を指します。
大手企業がシナジー効果があると見込んだり、そのサービスが欲しいと判断した場合はベンチャー企業の株式を買取することがあります。
これがM&Aです。
買収した企業の全株式を買取することが多く、基本はグループの子会社に入ります。
M&Aの場合は買取価格を一概に算出することができないので、どのくらいのリターンになるかは計算することはできません。
傾向としてはベンチャー企業の規模が大きければ大きいほど買収額は高くなります。
とはいえ投資家としてはベンチャー企業がM&AされるよりもIPOする方が大きな利益を手に入れられる可能性が大きいです。
IPOよりもイグジットしやすいですが、リターンは少なくなると考えておくといいかもしれません。
株式投資型クラウドファンディングにおける事業会社への譲渡
最後に紹介するのは事業会社への譲渡です。
例を出して説明します。
例えばある企業BがAという株式投資型クラウドファンディングで資金調達したベンチャー企業に出資したいとします。
BはAから新株を発行してもらいその株を買い取るというのがスタンダードです。
これを第三者割当増資と言います。
一方、事業会社の譲渡というのは株式投資型クラウドファンディングで出資した株主が事業会社に株式を買い取ってもらうことです。
ただし必ず出資時よりも高い株価で買取して貰えるとは限りません。
出資時よりも企業の価値が低くなっていれば出資時よりも安い価格になってしまう場合もあり、その場合は損失が確定してしまいます。
株式投資型クラウドファンディングでのイグジット例
株式投資型クラウドファンディングを利用して資金調達した企業でイグジットしたのは下記になります。
漢方生薬研究所は事業会社への譲渡でイグジット
FUNDINNO(ファンディーノ)で資金調達した漢方生薬研究所がイグジットしました。
株式投資型クラウドファンディングを利用した企業では日本初です。
イグジット方法は「事業会社への譲渡」でした。
FUNDINNO(ファンディーノ)で資金調達した際の発行価格は500円。
これを事業会社が750円で買取しました。
資金調達してから約1年半でのイグジットです。
参考までに紹介すると漢方生薬研究所は下記の投資コースから選択が可能でした。
- 1万円コース
- 10万円コース
- 30万円コース
- 50万円コース
もし50万円出資した人は25万円の利益を得たことになります。
また、今回のイグジットは事業会社に株式を売却するかどうかは株主が選ぶことができました。
売却しなかった場合は引き続き漢方生薬研究所の株主です。
ノモックも事業会社への譲渡でイグジット
車移動の無料化を目指すnommocも事業会社への譲渡でイグジットする機会が投資家に与えられました。
こちらもリターンはハーバルアイと同じく1.5倍です。
売却するか保有するかを選択できました。
イグジットすれば確実に利益がでるというわけではない
投資家からすればイグジットは嬉しいことですが、「イグジット=利益が確定する」というわけではありません。
それはIPOをする場合も同じです。
投資家の出資時よりも株価を下げてIPOした場合は残念ながら損失がでる場合もあります。
ダウンラウンドした場合は要注意です。
とはいえ株式投資型クラウドファンディングはベンチャー企業が設立して3年未満での投資が一般的です。
シリーズAの前であるエンジェルラウンドで株式投資型クラウドファンディングを利用して資金調達するケースが多いです。
まだバリュエーションが低い段階での出資ですから基本的には損失がでる可能性は極めて低い思います。
念のため「イグジット = 利益が確定するということではない」ということだけは頭にいれておきましょう。
まとめ
今回はイグジットについてまとめてみました。
国内では株式投資型クラウドファンディングを利用した企業でイグジットできたのはほんの一握りしかありません。
海外と比較しても極端に少ないです。
しかし、海外に比べ国内の市場規模はまだまだ小さいです。
市場規模が拡大していけばイグジットする企業は増えて行くと思われます。
投資家にお金が戻ればさらに新規のベンチャー企業に出資するという正のエコシステムが生まれるかもしれません。
今後に期待しましょう。